
授業評価アンケートの回答率が上がらない…原因と、回答率を上げる6つの具体策
「Web化したら回答率が下がった」「リマインドしているのに、なかなか増えない」。授業評価アンケートの回答率は、多くの大学に共通する悩みです。
回答率が低いと、一部の学生の声だけで授業を見ることになり、授業改善に生かしにくくなります。
本記事では、各大学が公開しているデータをもとに、回答率が上がらない原因と、すぐに取り組める具体策を紹介します。
回答率が低いと、学生の声が偏る
紙からWebに切り替えると、配布や集計の手間は大きく減ります。一方で、Web方式に移行した後に回答率が下がったという報告は、複数の大学のFD報告書で見られます。
たとえば佐賀大学では、授業アンケートの回答率が4年間で約18ポイント下がっています。

出典:佐賀大学「令和6年度 授業アンケート実施報告」
回答率が低いことの問題は、数字が小さいことだけではありません。回答する学生と、しない学生に偏りが出ることです。
城西大学 現代政策学部の分析では、成績評価が高い学生ほど回答率が高く、低い学生ほど回答率が低い傾向が見られました。
また、藤女子大学のFD委員会は、2025年度の総評で、授業の理解に苦しんでいる学生がアンケートに答えていない可能性に触れています。
つまり、回答率が低いままだと、本当に授業改善のヒントを持っている学生の声が届きにくくなるおそれがあります。
出典:石井多恵子「WEB化による授業評価アンケートの変化 ―データ活用の展望―」『城西現代政策研究』第12巻第1号、藤女子大学FD委員会「2025年度授業アンケート(全体的傾向)」
回答率が上がらない3つの原因
- 答える時間がない
授業の外で「各自で回答してください」としていると、学生は後回しにしたまま忘れてしまいます。
- 「答えても変わらない」と思われている
文部科学省の全国学生調査(令和6年度・第4回試行)では、「授業アンケート等の学生の意見を通じて大学教育が良くなっている」に肯定的に答えた学生は52%でした。裏を返せば、約半数の学生は変化を実感できていません。
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アンケートが多い・長い
科目ごとに同じような設問へ何度も答えるうちに、学生は負担を感じるようになります。また少人数の授業では、「誰の回答か分かってしまうのでは」という不安が、回答をためらわせることもあります。こうした不安には、「回答者が誰かは担当教員に知らされない」ことをはっきり伝えるのが有効です。城西大学 現代政策学部では、重複回答を防ぐために記名式で実施する一方、回答者の情報は担当教員にフィードバックしないことを前提にしています。
回答率を上げる6つの具体策

- 授業中に回答時間をとる
最も効果が期待できるのが、授業の中で回答の時間をとることです。名古屋学院大学は、授業評価アンケートを全面Web化した2016年度春学期に、回答率57.73%(総回答数÷総履修者数)を記録しました。報告では、成功の主な要因を「教員が教室で学生に適切な指示を出してくれたこと」としています。授業の最初や最後に数分〜10分ほど時間をとり、その場でスマホから回答してもらいましょう。 - 実施する時期とやり方を全学でそろえる
同志社女子大学では、「第14回目の授業開始時」の実施を推奨して教員に依頼しています。いつ・どのように実施するかを決めておくと、教員も学生に案内しやすくなります。 - 教員・非常勤講師への依頼を仕組みにする
回答率は、教員の案内の仕方で大きく変わります。城西大学 現代政策学部の2018年度前期の分析では、専任教員の担当科目の回答率が60.20%だったのに対し、他学部の非常勤講師が担当する科目は24.78%にとどまりました。実施期間の前に、教員向けの依頼文と、そのまま学生に読み上げられる案内文をセットで届けましょう。専任教員だけでなく、非常勤講師にも同じ情報が確実に届くようにしておくことが大切です。 - まだ答えていない学生にだけリマインドする
全員への一斉案内は、すでに回答した学生にとっては煩わしいものです。未回答の学生に絞って、締め切り前に1〜2回案内すると、角が立たず効果的です。 - スマホで、短く答えられるようにするQRコードやLMSのリンクから、すぐに回答を始められるようにします。設問は本当に必要なものに絞り、自由記述は1〜2問程度にとどめましょう。授業中に一斉に回答してもらう場合は、通信環境にも注意が必要です。城西大学の調査では、学内の無線ネットワークではなく、学生自身のスマホの回線でアクセスしていた学生が半数以上にのぼりました。教室で一斉回答する前に、情報システムの担当部署と接続環境を確認しておくと安心です。
- 結果と改善した内容を学生に返す
「前回の声を受けて、ここを変えました」と、授業内やLMSで学生に伝えましょう。答えた意味が伝われば、次回も答えようという気持ちにつながります。このほか、東京電機大学では、回答した学生へのインセンティブ(特典)の付与を試行しました。2025年度前期の学部の回答率は、前年度前期の35.1%から38.5%に上がり、報告書では回答率の低下に歯止めがかかった要因の一つと推測されています。
出典:東京電機大学 2025年度前期 授業アンケートに関する報告(同大学公式サイト)
回答率の「数え方」もそろえておく
回答率は、数え方によって大きく変わります。名古屋学院大学の同じ学期のデータでも、次のように差が出ています。

学内で「どの数え方を使うか」を決め、毎年同じ方法で比べることが大切です。
また同大学では、1年生の回答率が98.0%だったのに対し、4年生以上は40.2%でした。上級生は授業の出席機会が減るため、ゼミの時間に回答してもらうなど、学年に合わせた工夫も考えましょう。
出典:牧野・児島「授業評価アンケートの全面Web化による効果」(大学ICT推進協議会 2016年度年次大会)
これから、学生の声の重みはさらに増す
文部科学省の全国学生調査は、令和7年度から本格実施となりました。大学の回答率は25.3%でしたが、回答方法によって大きな差があります。
学生がふだん使っている学内の仕組みで答えてもらうほうが、回答が集まりやすいことがうかがえます。

さらに、大学の新しい評価制度を検討する中央教育審議会のワーキンググループは、2026年6月の「議論のまとめ」で、全国学生調査の結果を評価に活用していくべきだとしています。学生の声を確実に集める仕組みづくりは、今後ますます重要になります。
出典:文部科学省「令和7年度 全国学生調査」結果(2026年10月)、
中央教育審議会「教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループ 議論のまとめ」(2026年6月)
GLEXAなら、配信から集計まで1か所で
eラーニングシステム「GLEXA(グレクサ)」のアンケート機能では、質問を自由に作成でき、回答結果はグラフで自動集計されます。授業の動画や課題と同じシステム上で回答できるため、学生はスマホからでも迷わず答えられます。
対象の学生にリマインドメールを一斉に送ることもでき、案内の手間も減らせます。
まとめ:回答率は「仕組み」で上げる
- 授業中に回答時間をとるのが、最も効果が期待できる
- 実施時期・やり方・教員への依頼を全学でそろえる
- リマインドは未回答の学生に絞り、スマホで短く答えられるようにする
- 結果と改善内容を学生に返し、「答える意味」を伝える
- 回答率の数え方を決めて、毎年同じ方法で比べる
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