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職長教育とは?対象業種・科目・時間・再教育までわかりやすく解説

職長教育とは?対象業種・科目・時間・再教育までわかりやすく解説

「新しく職長になる人に、どんな教育を受けさせればいいの?」。

建設・製造の現場で必ず出てくる疑問です。職長教育は、労働安全衛生法で義務づけられた大切な教育。本記事では、対象となる業種、教育の科目と時間、再教育の考え方、実施しない場合のリスクまで、担当者がはじめてでも分かるように整理します。

職長教育とは(労働安全衛生法第60条)

職長教育とは、新たに「職長」など、作業中の労働者を直接指導・監督する立場になる人に対して、事業者が行う安全衛生教育です。労働安全衛生法第60条で義務づけられています。

職長は、現場で作業手順を決めたり、部下に指示を出したりする、いわば現場の安全の要(かなめ)。ここで正しい知識がないと、労働災害に直結します。そのため、職長になるタイミングで、安全に現場を動かすための教育を受けることが法律で求められています。

対象となるのは、はじめて職長になる人で、一度受講すれば、職長になるたびに受け直す必要はありません。

対象となる業種

すべての業種が対象ではなく、法令で定められた業種に限られます。代表的なものは次のとおりです。

表:対象となる業種

注意したいのが、2023年(令和5年)4月1日から、これまで対象外だった食料品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業が新たに対象に加わった点です。「うちは製造業だが対象外だと思っていた」という企業も、いま一度確認が必要です。

職長教育の科目と時間

教育の内容は、労働安全衛生規則第40条で定められています。科目と最低限の時間は次のとおりで、合計でおおむね12時間以上が必要です。

多くの場合、2日間程度に分けて実施されます。時間はあくまで最低基準のため、これを下回る教育は職長教育として認められません。(図1参照)
図1:職長教育の科目と時間

建設業は「職長・安全衛生責任者教育」に注意

建設業では、職長教育に「安全衛生責任者教育」を加えた、いわゆる「職長・安全衛生責任者教育(職長・安責者教育)」として受講するのが一般的です。

安全衛生責任者は労働安全衛生法第16条に基づき、複数の会社が入り混じって作業する現場で、下請(請負人)側が選任する立場です。元請の統括安全衛生責任者との連絡調整や、混在作業による危険の防止を担います。建設業では職長が安全衛生責任者を兼ねることが多いため、2つの教育をまとめて受けるのが通例です。

この安全衛生責任者教育(約2時間)が加わるため、建設業では合計14時間程度になるのが通常です。建設業の担当者は、職長教育だけでなく、この2つがセットになっていることを押さえておきましょう。

職長教育に「有効期限」はある?(再教育の考え方)

職長教育そのものに法的な有効期限はなく、一度受ければ資格が失効することはありません。ただし、厚生労働省の通達により、おおむね5年ごと、または機械設備などに大きな変更があったときに、再教育(能力向上教育に準じた教育)を受けさせることが求められています。

この再教育は努力義務であり、罰則をともなう義務ではありません。しかし、法改正や新しい安全知識を反映し、現場の安全水準を保つために、定期的な受け直しが強く推奨されています。

実施しないと、どうなる?

職長教育(法第60条)を実施しないことは法令違反にあたり、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金が定められています。さらに第122条の両罰規定により、違反した担当者だけでなく、法人にも罰金が科される場合があります。それ以上に大きいのが、教育を受けていない職長が現場を仕切ることで生じる労働災害のリスクです。万一の事故は、人命はもちろん、企業の信用や事業の継続にも関わります。

職長教育と特別教育・技能講習は別物

よくある誤解が、「職長教育を受ければ、足場やクレーンなどの作業もできる」というものです。職長教育は、あくまで現場を管理・監督するための教育です。職長自身が足場の組立てやクレーン運転などの危険・有害業務を行う場合は、職長教育とは別に、その業務ごとの特別教育や技能講習を受ける必要があります。「管理・監督の教育」と「作業を行うための資格」は分けて考えましょう。(図2参照)

図2:職長教育と特別教育・技能講習

受講方法・費用・修了証の扱い

受講方法は大きく3つあります。会場に通う通学制、講師を自社に招く出張講習、そしてオンライン(eラーニング)です。多拠点・多忙な現場では、場所と時間を選ばず受けられるオンラインの利用が広がっています。

受講方法

費用は1名あたりおおむね1〜3万円程度が目安ですが、受講方法や実施機関によって異なります。修了証には法的な有効期限はありません。紛失した場合は、受講した講習機関に再発行を申請します。どこで受講したかを記録しておくと、再発行や再教育の管理がスムーズです。

一人親方・外国人材・助成金のポイント

  • 一人親方:
    雇用関係がなくても、現場の入場要件として元請から修了証の提示を求められることが多く、実務上は受講が必要になります。
     
  • 外国人材:
    国籍を問わず、教育を修了していれば職長に選任できます。多言語のテキストや通訳の活用、日本語での指示能力もあわせて確認しましょう。
     
  • 助成金:
    中小企業は「人材開発支援助成金」で受講費用の一部を補助できる場合があります。受講前に訓練計画の届出が必要な点に注意してください。

職長教育を効率的に受講・実施するには

職長教育は科目数が多く、まとまった時間が必要なため、現場を止めずに全対象者に受けさせるのは大きな負担です。外部の講習機関を利用するほか、近年は一部をオンライン(eラーニング)で受講できる形も広がっています。

繰り返し行う社内教育や、職長になる前の基礎知識のインプットを動画・eラーニングで標準化しておくと、受講状況の把握や、再教育のタイミング管理もしやすくなります。

なお、職長教育は科目・時間などの要件が法令で定められており、オンラインで実施できる範囲は教育の種類や方法によって異なります。実施方法は、最新の法令・通達や講習機関の案内で必ず確認してください。


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