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安全衛生教育とは?建設業で義務づけられた教育の種類を一覧で解説

安全教育の抜け漏れは、労働基準監督署の指導や、万一の労災時の責任に直結します。とはいえ建設業は教育の種類が多く、全体像をつかむのは大変です。

本記事では、法律で義務づけられた安全衛生教育を一覧で整理し、対象・タイミング、近年の法改正、効率的な進め方までまとめます。

安全衛生教育とは(労働安全衛生法で義務)

安全衛生教育とは、労働者が安全に・健康に働けるように、事業者が行う教育の総称です。

労働安全衛生法(安衛法)で実施が義務づけられたものが含まれます。

建設業は危険をともなう作業が多いため、対象となる教育の種類も多く、安全担当者が押さえておくべき範囲が広いのが特徴です。

実施していないと労働基準監督署の指導対象になるほか、万一の労災時に事業者の責任が問われます。

教育を実施するときの基本ルール

 見落とされがちですが、安全衛生教育には実施のルールがあります。

原則として所定労働時間内に行うものとされ、やむを得ず時間外に実施した場合は割増賃金の支払いが必要です。また、受講料や旅費などの費用は事業者が負担します。

外国人労働者が多い現場では、母国語や図・動画などの視聴覚教材を使い、本人が確実に理解できる方法で行うことが求められます。

 

【一覧表】建設業で必要な主な安全衛生教育

代表的なものをまとめました。「義務」と「努力義務」で性格が異なる点に注意してください。

種類別のポイント

雇入れ時教育(2024年に全業種で強化)

労働者を雇い入れたときに行う、基本の安全衛生教育です。作業手順や保護具の使い方、事故時の応急措置など、安衛則第35条で定められた8項目を教育します。

2024年(令和6年)4月の改正で、これまで一部業種で省略できた項目の省略規定が廃止され、全業種で8項目すべての実施が必要になりました。

建設業はもともと8項目すべてが必須でしたが、この改正で全業種に広がったため、協力会社や他業種からの応援を含めて運用を見直す動きが広がっています。

特別教育(危険・有害業務ごとに必要)

足場の組立て、フルハーネス型墜落制止用器具の使用、玉掛け、アーク溶接など、法令で定められた数多くの危険・有害業務に就かせる前に行う教育です。

作業ごとに必要な教育が決まっているため、どの作業に誰を就かせるかを把握し、必要な特別教育を漏れなく受けさせることが重要です。

職長教育(現場をまとめる立場になる人へ)

新たに職長など、作業中の労働者を直接指導・監督する立場になる人に対して行う教育です。

建設業は安衛法第60条で義務づけられています。さらに、職長等については、おおむね5年ごとや機械設備に大きな変更があったときに再教育(能力向上教育に準じた教育)を受けさせることが努力義務とされています。安全水準の維持のために実施が推奨されています。

新規入場者教育(建設業ならではの教育)

下請の作業員が新しい現場に入場するときに、その現場の特性や危険箇所、避難経路、指揮命令系統などを周知する教育です。安衛則第642条の3に基づき、元請が主導して実施します。

建設業では、入場初日や入場後1週間以内の被災が多いとされており、現場ごとに行うこの教育はとくに重要です。雇入れ時教育(会社として一度行う教育)とは目的が異なり、現場が変わるたびに必要になる点に注意します。

近年の法改正の動き(最新の注意点)

安全衛生教育まわりは、ここ数年で対象や義務が広がっています。建設業に関係する主な動きは次のとおりです。

  • 2024年4月:雇入れ時教育の省略規定が廃止され、全業種で8項目すべてが必須に。

  • 2023年4月:危険有害な作業について、一人親方等(労働者以外の人)への保護措置(保護具使用の周知など)が事業者の義務に。

  • 2024年4月:リスクアセスメント対象物を扱う事業場での化学物質管理者の選任が義務化。

  • 2025年6月:職場の熱中症対策が罰則付きで義務化(体制整備・対応手順の作成・関係者への周知)。

教育記録は必ず残しておく

安全衛生教育は「実施した」だけでなく、記録を残すことが大切です。

労働基準監督署の調査や、元請からの確認、万一の労災対応の際に、いつ・誰が・どの教育を受けたかを示せる必要があります。

  • 実施日・教育内容・対象者・講師・使用資料を記録して保管する

  • 特別教育は、対象作業と修了者を作業ごとに整理しておく

  • 協力会社・応援作業員の受講状況も把握できるようにしておく

人の出入りが多い建設業で、教育を確実に回すコツ

建設業は現場が点在し、作業員の入れ替わりも多いため、全員を集めて教育する集合研修だけだと大きな負担になります。日程調整や会場確保、未受講者の追いかけに、担当者の時間が取られがちです。

そこで広がっているのが、教育のオンライン化・動画化です。基本的な安全教育や繰り返し行う内容を動画とテストで配信すれば、作業員は現場や移動中の隙間時間にスマホ・タブレットで受講でき、担当者は受講状況をまとめて把握できます。文字では伝わりにくい危険作業のポイントも、動画なら「動き」で見せられるため理解が深まります。

とくに毎回同じ説明が必要な新規入場者教育を動画化すると、現場監督の手間を減らしつつ、教える内容のばらつきも防げます。多言語の字幕をつければ、外国人作業員への教育にも役立ちます。

※特別教育などは、科目・時間数や実技の要件が法令で定められているものがあります。オンラインで実施できる範囲は教育の種類によって異なるため、実施方法は最新の法令・通達で確認してください。


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